未踏採択者による成功する個人プロジェクトの立ち上げ方(1) - プロジェクト開始前にやるべきこと
- プロジェクト開始前にやるべきこと
- プロジェクトに役立つツールを揃えよう
- 開発に集中できる環境を整えよう
個人的に、また、親しい仲間内で、Webサービスを作ったり、オンラインソフトを作ったりと、自らの腕を活かしたソフトウェアを開発される機会もあるでしょう。ここでは、そのような個人プロジェクトであったり、数人規模のプロジェクトの立ち上げ方について、未踏採択経験のある筆者が成功するためのアイデア・ノウハウを紹介します。
はじめに、私(クジラ飛行机)とあかさたさんの二人で「プロジェクトを成功に導くための『実践バグ管理』」という本を書きましたのでお知らせします。二人は、IPA未踏プロジェクトの2006年度採択者の同期であり、この八角研究所で技術記事を執筆しています。
この本の中では、一人プロジェクトや中規模プロジェクトなど、規模に応じたプロジェクト管理の方法について書いています。多くの現場で培ったプロジェクト管理(特にバグの扱い)に関する数々の実践的なアイデアを紹介しています。
しかし、せっかく二人ともIPA未踏プロジェクトの経験者なので、この本の番外編として、未踏プロジェクトのような「個人プロジェクト」の立ち上げ方について、気を付けたい点やプロジェクトを成功に導くためのポイントを書いてみようと思います。
今回は、プロジェクト開始前にやっておきたいこと、準備しておきたいことを中心に紹介します。
プロジェクト開始前に
プロジェクトの開始前は、アイデアを出したり、企画を練ったりと、とにかく楽しんで準備できると思います。そこで、実際の開発が始まる前に、モチベーションを高め、夢を持って開発できるように妄想を膨らまします。そのためにも、いきなり開発に取りかかるのではなく、一人で、あるいは、数人でアイデアブレストを行う必要があります。
アイデアブレスト
アイデアブレストでは、これから作るプログラムについて、アイデアを出していきます。これは、頭の中にあるもやもやとしているものを形として残す作業です。実現可能かどうかは後で考えるとして、「心から作ってみたいもの」「あったら良いな」と思う機能をどんどん書き出してみます。ここで出すアイデアは、本当に箇条書きのラフなものにします。次々と溢れてくるアイデアを忘れないように、ささっとメモしていきます。
そして、数人でアイデアブレストをする際によく言われることですが、このアイデアブレストの段階では、「そんなの無理」とか「作るのが大変」など、マイナス意見は出さないように心がける必要があります。知らず知らずマイナス意見を出してしまう人は、特に心がけないと口が勝手に動いてしまい、その場の雰囲気を悪くしてしまい、せっかくの良いアイデアを埋もれさせてしまう結果になります。
もし、アイデアが出てこないようであれば、使う人の立場にたって考えてみたり、そのプロジェクトによって恩恵を受ける人々の顔を思い浮かべてみると良いでしょう。それでも、ほとんどアイデアが出ないようであれば、本当にそのプログラムが必要かどうか、自分の貴重な時間を投資するだけの価値があるのかどうか考え直す機会ともなります。
面白いアイデアをたくさん出す方法については、Webにもたくさん資料が転がっているので「アイデア発想法」や「アイデアブレスト」などのキーワードで調べてみると面白いです。
アイデアに優先順位を与える
アイデアが十分に出揃ったなら、アイデアに優先順位をつけて、実現可能な機能に絞り込んでいきます。この絞り込みと優先順位付けがプロジェクトの成功・失敗を大きく分けるポイントとなります。あれも必要、これも必要と思って、はじめから全てを作ろうとするなら、志半ばで挫折してしまう可能性が高くなるからです。
個人プロジェクトは、限られた時間や予算内で行うことが多いと思いますから、本当に必要だと思われる機能だけに絞り込み、そこから順に各種機能を作り込んでいくようにします。
アイデアを企画書にまとめる
優先度をつけた上で、いつまでにつくるのか期限を決めたなら、アイデアを企画書としてまとめておきましょう。企画書や設計書など「**書」とつくものは面倒だから書きたくないと思う人は多いようです。何も考えず本能のままに作り始める人も多いです。
しかし、人間は考えているよりも多くのことを忘れてしまうものです。せっかく思いついた素敵なアイデアを忘れないように企画書として書き出しておいても損はないのです。自分で始めるプロジェクトですから、人に見せるための立派な企画書を書く必要はありません。
もちろん、未踏プロジェクトに応募する場合など、偉い人に見てもらう場合には、書式に沿った立派な提案書を書く必要があります。しかしながら、初めから提出用の企画書・提案書を書こうとするなら、身構えてしまい堅苦しいその場しのぎの企画書になってしまいます。他人に見てもらうものでなければ、企画書と言っても、アイデアの羅列やメモ書きで問題ありません。
プロトタイプを完成させる
未踏プロジェクトの応募においてもそうですが、ある程度動くプロトタイプがなければ、絵に描いた餅のように思われてしまうものです。建築家が設計した家をお客さんに見せる時には、必ず小さな立体模型や概観図を作ってくるものです。詳細な設計図を人に見せたところで、その家に住む人に理解してもらえることはありません。
それと同様に、プロジェクトを誰かに手伝ってもらう場合や、未踏プロジェクトに応募する場合にも、ある程度、動くプロトタイプがあるなら、俄然説得力が増します。アイデアを熱く語ったとしても、なかなか、相手に伝わらないものです。簡単でも良いので、これから作ろうとしているプロジェクトのプロトタイプがあるなら、協力者に「面白そう」とか「手伝ってあげたい」と思わせることができるのです。
また、簡単なプロタイプを作って人に使ってもらうことで、自分だけでは気づけないようなフィードバックをもらうことができます。これにより、アイデアをブラッシュアップすることができます。
宣伝:プロジェクトを成功に導くための「実践バグ管理」
プロジェクトに失敗は許されない。根性だけではバグはなくならない。デスマーチが始まる前に絶望を希望に変える管理術。
この本は次のような目的で書かれました。
- バグ管理について系統立てて学ぶことができる
- 常識、マナー、基本知識を知ることができる・新人君がプロジェクトに参加できるようになる
- プロジェクトにあったバグ管理を学ぶ(選択)ことができる
- デスマーチから開放される(予測、回避)
- 生きた手法を学ぶことができる(現役の開発者が書いている)
- プロジェクトの進捗状況を明らかにする
この本はバグ管理に関する本です。システム開発におけるバグ管理の重要性と、そのやり方に関するノウハウを共有する目的で書きました。
最近では使いやすいオープンソースのバグ管理システム(BTS)が複数登場しています。それにより小さな開発プロジェクトや個人で作っているソフトウェアでも、バグ管理システムを活用するようになっています。そこで、バグ管理システムを利用して、どのようにバグの管理を行っていくのか、バグレポートをどのように書いたらよいのか、など実践的な内容を扱います。この本では著名なバグ管理システムの使い方を紹介することよりも、ツールに依存しない本質的な考え方やノウハウを紹介することを重視しています。
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