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未踏ソフトウェア創造事業体験記(1) - 提案編

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はじめまして、あかさたです。今回は、未踏ソフトウェア創造事業でお世話になった八角さんで記事を書かせていただくことになりました。記事は主に技術紹介(HowTo)を依頼されていますが、未踏が縁になったので、まずは自己紹介も兼ねて未踏ソフトウェア創造事業の体験談を紹介します。

未踏ソフトウェア創造事業とは?

未踏ソフトウェア創造事業(以下、未踏)とは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が IT 人材の発掘と育成を目的とした補助制度です。対象は、個人の開発者もしくは数人のグループです。開発テーマを応募して、審査に通ると半年から一年くらい補助金が出るので、開発に従事することになります。PM が IT 分野では一流の有識者であることも魅力です。

私は、この未踏(2006 年度下期)にて、「Web 上で動作するモデリング環境 Kodougu の開発」というテーマで開発業務に従事していました。PM は東工大の千葉先生。期間は 2006/11/17 ~ 2007/8/31 です。(成果物はこちらで公開しています。)八角研究所の皆さんには、未踏のお手伝い(契約管理など)をしていただきました。

未踏に応募したきっかけ

私はとある会社の R&D 部門にいました。UML モデリングツール(Java)やビジネスモデリングツール(C#)の開発を行ったり、SOA のモデリングプロセスの策定などの仕事をしていました。開発にかかわっているときは、オフショア開発(中国)中心だったので、管理的な仕事がほとんどでした。私はオフショアは創造的ではないという理由で毛嫌いしていたのですが、やってみれば創造的な仕事でした。これは、敢えて言えばチームビルディングの面白さなのかもしれません。

オフショア開発時には、プロジェクトの情報共有には Web アプリケーションである trac(BTS + Wiki + Subversion)を使用していました。中国と日本の主なコミュニケーションパスは、メール、電話(Skype 含む)、trac、対面(現地へ出張)でした。モデリングツールの開発をしていたので、モデルもよく作成していました(いわゆるドッグフード*1です)。しかし、実際にオフショアでやってみると、モデルというものはコミュニケーションパスに乗りにくいという問題を抱えていることに気が付きました。開発拠点が分散しなければ、対面+ホワイトボードなどでコミュニケーションパスに乗りやすい(*2)のですが、拠点が分散していると、ついつい書くのが面倒になって、後回しになってしまうことが多くありました。

コミュニケーションパス

コミュニケーションパスの問題

これを解決するような性質のソフトウェア、つまりコミュニケーションパスに乗りやすいモデリングツールは作れないかと考えたわけです。これが、未踏に応募する直接の理由となりました。(それゆえ、Web 上で動作するモデリング環境 Kodougu となったわけです。)

もう一つ未踏に応募した理由があります。私は割と小さい頃からプログラミングを趣味でやっていたのですが、仕事ではあまりやることができませんでした。プログラミングを思い切りやって許されるのは若いうちくらいだと思うので、そういう意味ではオフショア開発のような管理的な仕事に入ってしまったことには、一抹の不満のようなものを感じていました。

「そんなこというやつは IT で生きていけないよ? 実装なんて IT エンジニアの仕事のほんの一部でしかないんだから。」

そんな声も聞こえてきます。もちろんそれは正しいです。これは、「常識」と、自分の「やりたいこと」の葛藤とでもいうのでしょうか。無茶をやるなら今(応募当時 25 歳)です。10 年後に、「常識」と「自分のやりたいこと」を天秤にかけるなんて青臭いマネ、できるはずがありません。やはり、今(!)なのです。

かくして、未踏に挑戦することになりました。

*1 ドッグフードとは、自社で開発したソフトウェアを自社で(業務で)使用することで、製品が使えるかどうか確認することです。

*2 実際、日本で中心的に開発しているときは、コミュニケーションパス上にモデリングはよく乗っていました。

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あかさた

あかさた

未踏(2006年度下期)でWeb上で動作するモデリング環境 Kodougu の開発をしてました。こちらでもブログを書いています。

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